今日も探偵の仕事の納期に追われていた。
探偵はルーチンワークの仕事とは程遠い。
探求者の魂がなければ、探偵の務まらない。
しかし私の場合、この仕事は天職だと思う。
調査と発見の作業は私を疲れさせるどころか、
脳のアドレナリンがどんどん出てきて、興奮させるのだ。
先週から家にこもって、調査と書類作成に勤(いそ)しんでいた。
仕事の完了はまだまだだが、一つの区切りが終わった。
私は気分転換に、近くのファーストフードで軽食を取ることにした。
外に出た。
先週までの残暑が嘘のように、外は涼しい気候だった。
行き交う人も徐々に秋服にモデルチェンジしている。
上を見上げると、大きな月がこっちを見ていた。
9月。
月がきれいに見える季節だ。
ふと目にしたファーストフードの入り口の看板には、
「月見バーガー」の広告が目に留まった。
「このバーガーは、あまりたべたことがないなぁ。」
「よし。」
「今日はこれにしよう。」
私は、店の中に入っていた。